ファームトゥギャザーの二次創作小説です

今日も作物が実っている。

太陽の光は、今日もさんさんとジェーンに降り注ぐ。
ジェーンはジョンソンファームの農場労働者である。
「陽はまた昇る、ね…」ジェーンは小さく独りごちた。

ジェーンは少し息をついて汗をぬぐう。
彼女の仕事は、彼女が配置されているエリアにある農作物の世話だ。主に水やりや収穫、収穫後の耕起、家畜の世話、魚釣りといった内容だが、たまに井戸に年金を回収しに行くこともある。
ジェーンは井戸での年金回収が好きだった。コインは一定のサイズで、手の疲労が最小限に抑えられる。

この農場での仕事は、1時間の労働に対してチケットが2枚支払われる。チケットは通貨ではないから給与として不適当だと“識者”が論じたこともあったが、人々が暮らしているうちに法改正され、運用された。給与がチケットで支払われる労働は瞬く間に巷に溢れかえった。

そのどれもがジェーンにとってはどうでもよかった。実際にそのチケットで生活することができたし、それどころか遠く離れて生活する老いた両親にも十分な仕送りをすることができた。チケットを換金することはチケット発行会社の規約で禁じられていたが、実際の街ではとっくに形骸化していた。換金業者はいくらでも見つけることができたし、すぐに送金できるのなら多少の手数料は問題にならなかった。

ジェーンにとって、チケットは通貨ではない、犯罪の温床だなんていう有識者による机上の空論より、今日この日を生き延びることが重要だった。

この地域では、急な恵みの雨のあとによく虹がかかる。作業の合間、一瞬視界に入れ、すぐに作業に戻った。この虹は人々に「Rainbow to Freedom」と呼ばれているが、ジェーンはまだそのことを知らない。

今日も作物が実っている。