関心領域観た(以下ネタバレ)。
世の中の感想は賛否両論らしいが私は結構好きだった。何度も観たくなるわけではないけど…。眠くなるっていうのはなかったなあ。それより観客の知識の範囲が問われるので(そうしないとその裏で何が起きているのか連想できない)、りんごを埋める少女が何なのかよく分からず自分の無知を恥じたりした。ピアノ弾くシーンも合わせてなんか反ナチスな行動なのは分かったけど細かいことは知識がなくて分からなかった。あの少女は飢える囚人のため食料を少しでも分け与えようとする実在したポーランド人とのこと。
家のお手伝いさんがユダヤ人であそこに連れてかれたんだよねぇ〜カーテンパクったらよかった〜ぐらいの話をさらっとしてたり歯磨き粉の中にダイヤ入れてて草すぎ!とか言ってたりするシーンでハァーーーという気持ちになっていたら、最初の毛皮のコートも略奪品で、口紅も直でつけてないのは他人が使ってたもの、かつ子供が見ていた金歯をつけていた人物は労働してるか死んだだろうし、二度と言うなよ!って軍人の口調を真似てる子供は周りで何が起きてるかわかっているし、弟を捕まえてビニールハウスに突っ込んだ兄貴とそれに対して裏切り者〜!と叫んで遊ぶ二人は戦争(アウシュヴィッツ)ごっこ。川に流れてきたどんぶらこアイテムはご遺体で感染症を防ぐために即帰宅…めっちゃぶん投げてくるじゃん。怒涛じゃん。
でも私がこの環境下で、ユダヤ人はゴミだから焼かれて当然♬という教育のみをされ続け、隣を無視さえすれば最高の住環境が得られるのよ♪と言われて過ごしていたとしたら絶対にこうならないなんて言い切れないかもしれんな…という自問自答の波に飲まれる映画。いいですね。奥さんがいちばん大事なことは「転勤族イヤ!」「あなたが単身赴任してよ!」「私は子どもたちと共に豊かに暮らしたいんだから!!」というご自身に関する熱い主張。まあ人なんてホルモンバランスひとつで性格も変わるし、育ってきた環境で基礎や土台が組まれるからすべての人類が真っ当に正しく生きられるなんてまったく思えないんですよね。ソースはスラム育ちの私。自分の善性をそんなに信じていない。
あとこの映画に近い見せ方をしてるのは「この世界の片隅に」だと思ったんですが(映し出す家庭の立場とかは違うものの、直接原爆を見せない・かつ戦時中の演出が)、それを考えると更に「やっぱこういう環境なら自分は慣れちまうのかも」と思いますね。人はそんなに遠くの全てを意識して生きてはいられない。半径数メートルが限度なのだ。
ただひとつ、この家は最高!子供を育てるのに最適!庭も部屋もステキ!とずっと連呼してるけど、こんなに騒音やべー家は隣でやってること抜きでも住むのやめたほうがいいだろとは思いました。耳悪くなるよ。風向きによっては人燃やした煙と灰が毎日降り注ぐし。慌てて洗濯物取り込んだりもあるし。そら妻の母親も帰るよ。映画だと分からなかったけど臭いとかどうなんだろう。家の使用人が「てめーも灰にしてやろうか」「バカ女」とか奥様に煽られたりで気の毒だった。そら赤子見ながら酒浴びるように飲んだり隠れてタバコ吸うよ。終わりの労働環境。ていうか奥様は子供産んで夜間の育児放置で寝られるのか…。これが“良いご身分”…(この妻、忠実だと戦争後に夫が処刑されたあと再婚してアメリカに移住してるのあまりにもたくましくて笑った)。
手慣れた感じで部屋入ってきて靴脱いだ女、まあそうかと思ってみたら次のカットでヘスがちんちん洗っててそうだねの気持ちになった。ちんちん丸出しで移動できないのはまあそうなんだけど一回履いちゃうとパンツ汚れない?娘ちゃんの「汗かいてる」のワードの追い打ち感。
友人にラストが「アクト・オブ・キリング」だよと言われ見たらあまりにもアクト・オブ・キリングで笑ってしまった。パーチー行ってどうガス室で効率的に殺すかとか考えるのやめよう。そらゲロも吐くよ。畳む

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