クリード2の話(2回目)、またはビアンカのこと

前にもクリード2の感想書いてるんだけど、最近改めてロッキー1からファイナル、その後クリード1と2を連続で観て、思ったことをメモ。ネタバレ有りです。

クリード/炎の宿敵感想メモ | nemui

完全に自分用メモです。 ネタバレ・ネガティブな感想も含まれます 見終わって真顔でエンドロールを眺めました。あんなにボロボロ泣いたクリードとは違って、クリード2(炎の宿敵)はそういうのがなかった。 なんでだろう…と自問自答するためにこのテキストを書いています。映画を見て思ったことを書いているだけの日記です。 まず監督の撮り方が私にはあんまり向いてないというか、単純な好みとしてあんま好きじゃなかったというのはあるのですが、試合シーンが見づらくない…?何が起きてるというかスポーツとして見辛くて…画がなんか…この監督さんの『静』のカットはすごく好きなんですけどロッキーやクリードで重要なシーンってやっぱ

以前の記事はこれ。

クリード2。父をリング上で“殺した”相手。自分が生まれる前に起きた悲劇。アドニスが自分の出自に深く関する話で頭がてんてこまいになってるのはわかるけど、奥さんのキャリアについてなにも言及せず自分の尊厳の為に戦いたいと伝えるシーンがどうしても納得がいかない。それくらいアドニスが追い込まれていたという表現だとしても納得がいかない。

婚約者であるビアンカには、進行性難聴がある中限られた時間で音楽活動をしたいという夢があるのにその話が1ミリも出てこない。自分は父親になれるのか?自分のチャンプの座はどうなるのか?父と自分。自分の出自。自分はこれからどうしたら?自分は…?妻を愛していると言葉では言うけれど、具体的な心配は自分の話ばかり。エリート育ち、恵まれている経済状況。母から素晴らしい愛情と教育を受けたアドニスはとても真面目で信頼できる人物だと思えるけれど(ビアンカと手話でこっそり色んなお話をしているシーンなんか、最高にかわいいよね)、裏返すとおぼっちゃま気質が抜けないままで、いざというときになんだか頼りない。

ロッキーもボクサーとして戦いたいという意志を突き通した結果、妊婦であった妻のエイドリアンが過労で倒れるエピソードがある。それは生死をさまよう程で、ロッキーはずっと最愛の妻エイドリアンの看病をし、ミッキーもそれに連れ添ってくれるという展開だったけれど、観客はそれを“経験”しているからこそこう…なんていうか…こう…こうさ!!ねえロッキー!!!ロッキー!!!!(またすぐロッキーに頼ろうとする!!)


さて、おぼっちゃまとして育った育ちの良いアドニスがついにロッキー、そしてアポロという父から卒業する。彼自身が父となり、ついに独り立ちする話だということは分かるけど、「やっと眠ったわ」って、ビアンカに全投げしてたんか!?してたんか…!!アドニスくんがリビングでのんびりiPadしてる間…ビアンカはスタジオ行きたいの我慢して赤ん坊寝かしつけてたんか…!?っていう、いやそのあと少しの間引き受けてくれるけれど、そもそもビアンカの妊娠が判明して割と時間を置かずにドラゴ親子の挑戦を受けてリングへ行ってるし、ビアンカあれ何ヶ月ごろなのか知らないですが安定期入ってたのか…?目の前でボコボコにされる夫を見て、入院後もいろんな対応をして(身重やぞ…)それが当たり前みたいな、ビアンカはなに突然赤子と夫の世話同時に担当させられてるのか?「ウオオ~~~ビアンカ~~~~~~~」の気持ちが大きくなりすぎてアドニスほんまひどない?という気持ちになりました。タイミングがあるじゃん!不安定な時期にハイパーとんでもないもん見せとんなおい!!という…挙げ句の果てには心配する妊婦の妻の前で俺は父親になるのに…うう…みたいなこと言うし(ビアンカはもう腹に赤子おんねんぞ)、ロッキーに暴言は吐くし、なあ、みんな忘れてるかもしれんけどビアンカは妊婦やねん。どんだけメンタル攻撃するんじゃ。
それでも私はあなたの味方よとアドニスをやさしく撫でてくれるビアンカ。ビアンカちゃん、ああビアンカちゃん、ビアンカちゃん(575)。ううっ…ビアンカちゃんがあまりにも“““強”””すぎる。めちゃくちゃかっこいい。


クリードシリーズはびっくりするほど真面目な子しか出てこないし(第二のポーリーがいない)、ストーリーの起承転結的にもここでのアドニスくんの葛藤とか暴言とかもその後一度ロッキーと決別という形を取る為に必要なのも分かるんですが、あまりにも…改めて見たら「いやなんやねん!!!!オラァ!!!!」の気持ちが沸いてしまい厳しかったです。

アドニスくんの周囲に第二のポーリーがいないというのは、アドニスくんの出自はともかくその後あのすてきなママに保護されたという環境がある以上まあそうよねと分かるのですが、ストーリーとしては難しいですね。物語のきっかけを作り出す子が全然いない。アドニスくんが一定の財を築いたとして、それをみんなご破産にしてビアンカちゃんやアドニスくんが怒り、それでもともに行きていく、これからもアドニスくんとビアンカちゃんと共生していく、“憎みきれないろくでなし”。そういう人はこのネットワークにいない。なぜなら彼は育ちが良いので。

”類は友を呼ぶ”「経済格差」よりやっかいな「ネットワーク格差」【橘玲の日々刻々】 | 橘玲×ZAi ONLINE海外投資の歩き方 | ザイオンライン

わたしたちは言葉を介して社会のなかでコミュニケーションする。同様に市場は、貨幣や商品・サービスを交換する複雑系のネットワークだ。このように現在では、世界を単純な数式で記述するのではなく、ネットワークとして把握しようとする試みがあらゆる分野で行なわれている。

最近だとこのへんで言われている社会ネットワーク的なニュアンスで。

Parable of the Polygons – a playable post on the shape of society

A playable post on how harmless choices can make a harmful world.

あとちょっと話逸れるけどついでなのでこれも紹介。上の記事で出てくる、ノーベル賞を受賞したゲーム理論学者トーマス・シェリングの1971年の論文に基づいてつくられた人種隔離シュミレーションブログ記事です。サイトが可愛い(日本語版もあるよ)。


ビアンカちゃんとアドニスママが細かなことも相談できる仲なのはめっちゃいいよね。ママもほんまかっこいいからな。

ママが強すぎて、「あの子を見守ってあげてやって」って、そらママみたいな歴戦の戦士からするとそういうアドバイスになるかもだけどまだビアンカちゃんは妻歴数ヶ月やぞ!?人間に換算したら赤ちゃんやぞ!?の気持ちは拭えなかったですが…みんなビアンカちゃんの強さに頼りすぎじゃない!?たしかに彼女はめちゃくちゃ強いし勇ましく可憐なキャラクターだと思うけど、母親初心者マークだし計画妊娠ですらないし自身の難聴のこともあるし彼女の音楽活動についてはもはや誰もフォローアップ入れてなくない!?どうして!?という叫びも生まれる展開でした。いやマジであのあとアドニスくんとロッキーが問答無用でメキシコ特訓旅するからさ、ワンオペ育児強制されてるけど彼女強すぎない?子供生まれたから母性本能でなんとかなると思ってるんか?そこはせめてアドニスくんの一つの武器、その富裕層である(しかもちょっと前まで6戦全勝)という強さを最大限に発揮して、きちんとベビーシッターだの専門家にも手伝ってもらってるワンカットを入れて欲しかった。今こそ財力発動よ。別に金払ってるシーンなんか入れなくていい、ただワンカットビアンカと連絡を取るシーンや一瞬のカットでそれらしきシーンが入るだけでも印象が全然変わったのに、子守中のビアンカが自撮りして頑張って赤ちゃんとのツーショット撮影するシーンくらいしかない。

アドニスくん、巨人の星で花形満がやってたような鉄球を腹部に思い切りぶつけて強くなる謎特訓(これマジで何?)とかやってんのなんも頭に入ってこなかった。なんかすごい頑張ってるし、走り方綺麗だし、よくわからん荒野で荒くれ者として(?)地面をトンカチで叩きまくってんのも、努力が足りない!努力次第!努力!いやもうなんやねんこれ……の気持ちが先に来てしまう。まあロッキーもエイドリアンも子ども放置して特訓してたじゃんと言われればマジでその通りなのですが……何?文化の違い?

そしてこれ、アドニスくんとビアンカちゃんがそれぞれきっちり夢を叶える話にするのならLALALANDになるのか?いや知らんけど…でもそうじゃない?いや知らんけど…

まあ平たく言ってしまえばこれは映画で、タイトルは『クリード2』。メインのターゲットユーザーもロッキーシリーズのファンなんかを想定してるんだと思いますが、ビアンカがあまりにも不憫で、不憫というか彼女は救われたのか?選手入場で歌えたからそれでええんか?みたいな、でもあまりそれについて書いてる記事すら見つけられず(どこかにあるなら教えて…)、ビアンカなんでや!!の気持ちになったので書きました。これから、ビアンカちゃんが元気に夢を叶えられますように…。

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